専門学校の「定員」は学校が設定する「経営目標値」です。「定員割れ」は集客が計画通り上手くいかず、意図しない少人数クラス・赤字経営によるサービス低下を引き起こします。
私は「定員割れの専門学校」と「県下一番人気の専門学校」で働いたことがあります。
少人数クラスでの「友達幅の狭さ」「先生の手厚いサポート(息苦しさ)」は学生さんが可哀そうに思いましたし、人数が少ないので付き合いのある企業さんも少なく「就職の選び幅の狭さ」は一生尾をひく問題になりかねません。
また、赤字経営で設備・教育への投資もできません。「昔」に固執した設備とカリキュラムで「時代遅れの授業」「最新の技術が学べない環境」になり、「現場で成長し活躍できる人材」には到底ならない教育現場をみてきました。
もし「定員割れの専門学校」の競争率の低さ・3月末ギリギリの出願・少人数クラスによる手厚いサポートがあると、魅力を感じているなら、この記事をしっかり読んで考えてください。
たしかに人数が多すぎるとサポートは薄くなってしまう面はあります。私も40~50名のクラスを担任した時は本当に大変で、他の先生にお手伝いをたくさんお願いしました。
それでも「友達」「先生」「就職」の「幅」が狭まっても大丈夫ですか?
専門学校は「人生最後の学校」です。「学校求人」は学校の組織力で、就職はあなたの人生を10~40年決定づける重要な進路選択ですよ。
「定員充足」はそうないですが、70%以下「定員割れの専門学校」は避けるのが無難です。
「自分の県で、同じ学科・コースの人数が一番多い専門学校」を選びましょう。「学校の人気=学生の満足=高校の先生の信頼」です。
あなたがどの学校を選ぶかは自由です。
しかし、できれば最後の学生生活。高校よりも専門分野に特化しつつ、社会で生き抜く力を身につけて、立派に就職・働いて楽しい人生を送って欲しいです。
この記事が、あなたの学校選びの参考になったら、嬉しいです。
よろしくー
「定員割れ専門学校」の確認方法
「定員割れ専門学校」は以下の手法で確認できます。
結局は3番目、電話やオープンキャンパスで聞いてみるのが確実です。
とはいえ恥ずかしいでしょうから、まずは1~2番目からやんわりと見ておきましょう。
- 学生人数を「情報公開」ページに掲載
- ホームページ「ニュース」に「募集終了」を掲載
- 電話やオープンキャンパスで聞いてみる(例文アリ)
- 「経営状況」は必ず公開されている
- 教員数からクラス数が分かる
在籍学生数を公開している学校はあります。
ホームページに「情報公開」が必ずあります。「実践教育課程」「修学支援制度」などの認定で公開が必要だから。
ただし必ず掲載しているわけではない、最新でない場合があるのだけ注意してください。
公開してる学校は
30%ぐらいかなー
ホームページの「ニュース」に「募集終了」のアナウンスがあった場合、人気校です。
特に私立の専門学校であれば、教室の席が許せば定員を少し超えてでも募集します。よって「募集終了」する時は「教室的にどうしても受け入れられない」状況にあります。
ただし、ホームページリニューアルなどで、昨年度のニュースが消えている場合もあるので、注意してください。
感染症で県内志向が
高まったからねー
確実なのは直接聞くことです。
- 匿名で電話をしてみる
- オープンキャンパスに行って聞いてみる
ただし「いつ頃、募集締め切りそうですか?」は意味がありません。
どうせ「早めに」と言われたり、現在の充足率を教えてくれません。多めに盛ったり、わざと「ちょっと待ってくださいね…まだ少し余裕がありそうです」のように不安を煽ることもあります。
「例年どの学科が人気がありますか?」「ここ3年間で募集終了したことがありますか?」などの期間を明確にすると、少し真実に近づけます。嘘は言いませんからね。
結局は、「気になるならとりあえず合格しておいて後でキャンセル」が確実です。オープンキャンパスで学校と相談してください。
「失礼な話だから…」と思うかもですが、学校側もキャンセルのリスクがあっても「とりあえず入学者を多めに確保しておきたい」って気持ちがあります。
親身に教えてくれるよー
多少煽るけどねー
少し裏技的ですが、「経営状況」が赤字かを見ておくと良いです。
「情報公開」に会計報告が必ずあります。「△」「▲」があれば赤字経営です。
赤字であれば定員割れと判断できます。定員充足していて赤字経営になることはまずないですからね。
ただし定員充足状況が学科・コースによって差がある場合もあります。
全然見ないだろうけど
大事なんだよねー
「情報公開」で「教員数」も公開されています。
「コース×学年」より教員数が少ない学校は定員割れです。
目安は以下の通り。
- 1学科に2~3名なら、1学年1クラス
- 1学科に1名なら、全学年兼任でヤバイ
- 学校全体で「常勤」が3名程度で超ヤバイ
聞くのがてっとり早いけどねー
定員割れ専門学校のメリットは「2つだけ」
「定員割れ専門学校」では、「競争率低い」「最後の最後に入れるかも」「自分でも簡単に入れるかも」と魅力に感じるのはその通りです。
しかし、メリットは「3月ギリギリに出願でも間に合う」「先生の目が行き届く」だけです。
先生の目が行き届くので、きめ細かな教育サービスが受けられます。
もし「授業についていけるか心配」でもしっかりサポート受けられます。
正直、技量的に毎日学生の様子を見れるのは、7~15名が限界です。
16名~40名になると1週間あれば、全員1度は見れるかなって感じです。
過去の調査書・面談での聞き取りに基いて、時期や取り組んでる事柄(実習・イベント)によって注目する学生さんを切り替えながらサポートしています。
授業・人間関係などで「先生にずっと見守って欲しい」って方には、定員割れ・少人数クラスの学校はメリットではあります。
しかし、他はデメリットだらけです。特に教育サービスの品質・就職の自由度において、大きな差があるので理解してください。
定員割れ専門学校では「学校としての組織力」ではなく「1先生による個人商店」によるサポートになっているのが実情です。
先生依存なのは
ちょっとリスク大きいねー
3種類のデメリット | 「学校生活」「教育品質」「就職の選択幅」
好みにもよるでしょうが、私は定員割れ・少人数クラスの専門学校は薦めません。
先生に細かく見守ってもらえるのが、必ずしも学生の健やかな成長にプラスになるとは思えないからです。
学生は先生の見守りは勿論ですが、クラスメイトとの交流・学校の組織体制としてサポートがあって大きく成長すると考えています。
ここでは3つの切り口でデメリットを解説します。
- 少人数クラスの「学校生活」のデメリット
- 赤字経営による「教育品質」のデメリット
- 先生・就職の「選択肢」のデメリット
定員割れの学校は
組織体制が薄いかなー
「学校生活」でのデメリット
少人数クラスの「学校生活」デメリットは3点。
- 友達が選べない
- 先生が構いまくってくる
- 辞めたい時の引き留めがキビシイ
定員割れ・少人数クラスの専門学校で6~15名クラスだったら、軽く絶望です。
少人数クラスの友達状況は悲惨ですからね。
- 気の合うクラスメイトがいなければ、友達づくりは終了
- 友達は2~3名がコア、競争に負けたら仲間入り無理
- うっかりケンカしたら最悪、一瞬でクラス中に知れ渡りハブられ
先生が手を出せない(出すべきではない)のは「友達関係」「恋愛関係」です。
今までの学校を思い出してください。30~40名クラスではなかったですか?
クラスも3個以上もあったでしょう。
学校の人間関係が狭いのは
ちょっと物足りないねー
少人数クラスは多くても15名、1~2コマ授業を担当すれば全員に話しをすることができます。
「授業について行けなくても見てくれる」「質問する勇気がなくても見に来てくれる」ってメリットに感じるのはOKですが、ほんとに良いですか?
私は少人数クラスは、学生さんの「自力成長」を阻害している面があると考えています。
とくに「自分から動かなくても先生が見に来てくれる状況・話しかけてくれる状況」はキケンです。
「分からないことがあったら待つ」って癖がついてしまいますよ。
アルバイトをした学生さん、仕事をされている保護者さんなら分かりますよね?
トラブルが起こった時こそ、早めに勇気をもって相談をする必要があるって。
手取り足取りされたいなら
いいけどーちょっとねー
定員割れ・少人数クラスの学校では、経営的問題が2点あります。
- 学生一人が辞めれば収益に痛手
- そもそも先生一人あたりの収益が小さい
したがって、あなたが「辞めたい」と思うと、「全力」で引き留めます。
学生が辞めると、学校は「先生の指導力が足りない」と責めます。
よって先生はすごい勢いであなたを引き留めます。
私は、学校を退学してやり直す「リセマラ」は薦めません。一方で「進路を希望の方向に修正するのは若いうちだけ」とも理解しています。
学生さんがしっかりと「今の選択をした反省」をして、「次への動き」を強い覚悟で考えていれば、内心残念ではありますが、「頑張ってね」と送り出すしかありません。
学校の経営・先生の都合によって、学生の「人生の進路変更」を阻害することには同意できません。(とはいえ、学校・上司からの命令なので逆らえません)
学校は卒業させれば
お別れだからねー
「教育品質へのデメリット」
定員割れの専門学校は、収益の最適化に失敗しています。
赤字経営の学校もよくあります。
収益が少ないので設備投資・教育投資ができません。学生が少ないので「投資してもコスパが悪い」と判断して設備や教育が古いままです。
- 設備が時代遅れ…黒板・パソコン・プロジェクターなど
- 教育が時代遅れ…AIやクラウドの実習科目を導入できていない
分かりやすいのは設備です。
建物・教室・トイレを見てください。
教室は後ろの方、トイレはオープンキャンパスで利用していない階をチェックしましょう。必ず「化けの皮」がはがれますよ。
特にIT専門学校で黒板は最悪です。
パソコンに粉がかかりますからね。チョークの方が見やすく、ホワイトボードは反射デメリットはありますが、学生と同じ色使いにできたりプロジェクターを投影した板書がしやすいなどメリットが大きいです。
少なくとも以下3点はダメ学校の典型です。私は絶対にお薦めしません。
- 黒板教室がメイン…教育投資ができない学校
- パソコンメモリが8GB…学生に実習で我慢される学校
- 和式トイレがある…学生生活の改善ができない学校
オープンキャンパスで
チェックしてねー
定員割れの専門学校は経済的にも時間的にも「余裕」がないです。
まず学校が良いできるサービスが限定されます。
- 学校用のメールアドレスが用意できない…学業と就活に支障がでる
- AIやクラウドなどの科目が用意できない…最新技術を教えられない
Office365, Microsoft Teamsを提供できない学校はまずダメです。学校用のメールアドレスを準備しないと、学業と就職に支障がでます。
他にもLINE、slackなどを活用していると「新しい技術を導入できる学校」なので良いですね。
専門学校は「就職に直結したカリキュラム」を実行する学校です。
技術の基礎になる「昔ながらの技術」を教えつつ、現場で使っている「最新技術」も教える必要があります。
IT専門学校であれば、教えるべき「昔ながらの技術」は「Java言語」です。もし「C言語」から入っている学校があれば、レベルと時代錯誤に疑問を持つ方が良いです。
C言語は20年前の学校教育ならアリでしたが、今や一部業界(マイコン)でしか使いません。「簡単だから」「昔から教えていたから」の理由で現在も教えている学校がありますが、Java言語の「オブジェクト指向」の学習が遅れます。
IT学校でお薦めするのは、Python言語によるAI、AWSなどのクラウドの授業がある学校です。
今やプログラム開発といえば「Webアプリ」が当たり前、Linuxによるローカルサーバーだけでなく、AWSなどのクラウドサーバーも大きく使われていますから。
しっかり調べないと
分からないだろうけどねー
先生や就職の「選択肢」
- 先生が少ないから「選択肢」が少ない…合わなかったら詰む
- 学生が少ないから付き合い企業が少ない…企業の選択肢がない
同じ学科・コースのクラスが多いほど先生の数が増えます。
専門学校の先生は、現場での労働経験のある「元プロ」ではありますが、教員免許を持っていません。つまり「個性」が強いオトナです。
今までの高校・中学校の「先生」は大学教育学部の純粋培養なので、社会人経験がありませんが、教育スキルの「粒」は揃っています。
小学校・中学校・高校につれて、先生の個性の幅が大きくなったと感じましたよね。
専門学校の先生は、教員免許を取得する授業を受けていないので、個性がモロにでます。授業の「教え方」は勿論我流、生理的に合う合わないもあります。
先生の数が少ない学校で、合わない先生だけに全授業を担当すると詰みます。
合う先生と
話をしたいよねー
定員割れ・少人数クラスの専門学校は、就職の幅が限定されます。
大きい学校であれば付き合う企業も多く、例年採用してくれるお得意様企業もあります。企業側からも「学生さんがたくさんいるので、人材供給源として助かる」と思われています。
大きい学校であれば「学校主催の合同企業説明会」が実施されます。都会の大きい学校であれば3日間以上・120社ぐらい、地方校であっても1日以上・40社ぐらいの規模です。
しかし、定員割れ・少人数クラスの学校では「学校主催の合同企業説明会」が実施されません。あなたは、学校に電話のあった企業さんを受ける/受けない、先生が電話をしてくれた企業さんを受ける/受けないの選択しかできません。
自分の人生を10~40年決めちゃう企業選び。自分で少しは選びたいですよね。
必ず「学校主催の合同企業説明会」を実施してる学校を選びましょう。
専門学校の就職は
組織力だよー
定員割れの専門学校で不合格になるか?
「定員割れの専門学校」でも入学をお断りする場合があります。
- 人気校・技能前提の学校の場合は、学力・スキル不足
- 集団教育に耐えられない・特殊な医療行為が必要である
- 入学時年齢が25歳の場合、断られる可能性が高い
学校生活・新卒就活できるかが
重要な判断基準だねー
基本的に専門学校は「受け入れる学校」ですが、例年競争率が高い学校は「選ぶ学校」です。
例年「募集終了」をしている学校、受験手段が多岐にわたる学校は注意が必要です。面接試験と軽い適性試験だけでなく、技能試験や作文を設けている学校は難易度が高いですよ。
また、音楽や絵画の学校の場合は、基礎スキル・経験を優遇します。つまり初心者・未経験者は学業についていけないし、就職サポートに責任持てないので、定員割れでも不合格にします。
通常の「受け入れる学校」の場合は、軽い面接と軽い適性試験程度で、「普通の学生」であれば合格します。
たいてい推薦枠が充実しています。「学校推薦」「指定校推薦」「自己推薦」など複数種類あったら「出願が間に合えばほぼ合格する」と思って問題ありません。
専門学校は
入りやすいのがふつー
例年100名の出願があれば、1~3名ぐらいご遠慮してもらっています。
私の専門学校で残念ながらご遠慮いただいた学生さん
- 特別な処置が必要なハンデ…車椅子(エレベーターがないため)・呼吸器など
- 重度の精神的なハンデ…自己主張や挙動による集団授業の妨害のため
逆に多少、ハンデや病気があっても大丈夫です。
私の専門学校で受け入れた学生さん
- てんかん…特に問題なし
- 弱視・難聴…前の席・補聴器や板書を大きくして対応
- 手足の発育不全…運動を避ける配慮で対応
- 病歴・定期健診…IgA腎炎・βサラセミア・心臓病など
- 軽い発達ハンデ…ADHDやLD。精神手帳3級程度(結構苦労します)
ちゃんと登校できて
ふつーに授業できればいいよー
専門学校の入学条件に年齢上限は「法律的」にはありません。
しかし「ストレート学生」さんとの共生・「新卒就活」への責任からお断りする場合もあります。
私の専門学校では「25歳」以上の方が入学した実績はありません。ときおり30歳を超える方がオープンキャンパスにいらっしゃいますが、説明をしてご遠慮頂いています。
年齢幅は専門学校学校の「分野」によります。
例えば、社会人経験者や年齢幅が広い学校は、「技能習熟が独学で不可能な職業」と考えると理解できます。また「夜間」「一年制」の学校も幅広いですね。
- 高度な資格が必要…医療・看護・福祉など
- 高度な技能が必要…調理・栄養
- 夜間…働きながら受講できるため
- 一年制…休職期間を短くできるため
結局は学校が判断し説明することなので、電話やオープンキャンパスで「○○歳なんですけど、受け入れてもらえるものでしょうか?」と相談すると良いですよ。
18歳のストレート学生さんは
まだまだコドモで多感だからねー
まとめ | 「定員割れの専門学校」を選ぶかはよく考えて!
ここまで読んで頂きありがとうございます!
ありがとー
「定員割れの専門学校」のメリットは2点です。
- 募集締め切りがないから、3月末日でもギリ入学できる
- 先生が構ってくれるので、授業にはついていけそう
とはいえ、定員を目標として設定しているのは学校です。
「定員割れ」は学校の計画が上手く行っていない結果でもあります。
「定員割れに専門学校」は、経営不振・多角化によって設備・教育に投資できず、学校生活・就職に一層幅が狭まるリスクが大きいです。
- 少人数クラスの「学校生活」…友達の幅の狭さ・先生の監視
- 赤字経営による「教育品質」…設備・カリキュラムが古い
- 先生・就職の「選択肢」…合同企業説明会がなく選べない
よって「定員割れしている専門学校」よりも、「県で手堅い人気の専門学校」への早めの出願を強くお薦めします。「人気になる要因=学生の満足度=高校の先生の信頼度」と思ってください。
あなたの「人生最後の学校」です。
入学の競争率・少人数クラスに魅力を感じるかもですが、実際に2~3年間学生生活ができるか、後悔のない就職ができるのか、しっかり「中身まで」調べて見極めてくださいね。
じゃ またー